映画雑感ー本屋時々映画とドラマ

映画・ドラマレビューばかり書いている書店員のよもやま話

シャボン玉とクルミのお団子(映画『PARKS』と『モンテ』)

さてさて、せめて一ヵ月更新と心に決めた傍から滑りこみセーフの2月の終わり。

今回は先日お江戸に行った話でも。

とはいえ特段予定があったわけではなく、ただひたすら見たい映画を見るためだけの4日間。

それでも珍しくいろんな人と飲んだり話したり(すごく楽しかった)、苦手なエスカレーターを器用なふりして3秒かからずに乗ったり(?)、ご飯食べるの忘れたり、まあなんだかんだフラフラして、最終日は山手線を意図的に乗り過ごし、浅草に逃げて焼豚と胃腸薬と川本三郎さんのエッセイを買ったりした。

 

そういえば、こんなことが。

お洒落なカフェに行こうとしたものの人が多くて入りきらず、なんだか疲れてしまった(朝から映画を観ていたらご飯を食べるのを今日も忘れていたことを思い出したから)。

その先に湖のような場所が見えたのでとりあえずベンチでたそがれようとしたら、そこは井之頭公園。

映画『PARKS』(瀬田なつき監督)だ!あの景色だ!芽郁ちゃんと愛ちゃんが走っていたあの場所だ!

スワンボート大渋滞だ!そうか、ここは吉祥寺だ!

と思うと、心持ち足取りは軽くなる。

スキップは苦手だけど、気持ち2ステップぐらい。

 

カフェのお洒落なコーヒーにはありつけなかったけれど、売店のお団子があればこれ以上の幸せがあるだろうか?醤油味と迷った末、1人クルミ味噌だれの団子に夢中で食らいつく。

 

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そういえばさっき内容も知らないまま飛び込んだ映画『モンテ』(アミール・ナデリ監督)は一体なんだったんだろう。

よくわからないまま観ていたら主人公はひたすら石を打ち砕いていた。

なんでこんなに彼らは石の山に挑み続けるのか。たとえ引き離されても、石と格闘する孤高の叫び声を頼りに集まり、必死に石を打ち砕き続ける家族の軌跡を追い続けると、最後の瞬間で妙に壮大でとてつもない達成感と解放感を味わう。

全ては監督の映画への愛。己を破壊し、己よりも大きなものをも破壊しようとするその、底知れない、狂気のようなエネルギー。

そして、石を打つ震動に揺れる妻の横顔と一筋の涙がなんだかエロティックな感じがしたのは、、気のせいか。

 

そんな私に突如吹きかかるシャボン玉。

井之頭公園にはそんなサービスがあるのか!!!(ない)

 

見ると1人の男性が穏やかにシャボン玉を吹き続けている。

彼は時折売店のお姉さんに自分の描いた絵を見せにいって褒めてもらったりしていて、なんだか楽しそう。

そろそろ帰ろうと橋を渡っているとまた彼がいて、すくっと佇み、シャボン玉を吹いている。

思わずシャボン玉の行方を目で追ってみると、スワンボートの上のカップルが、不思議そうな顔で、快晴の空を舞うシャボン玉を見ているのだった。