映画雑感ー本屋時々映画とドラマ

映画・ドラマレビューばかり書いている書店員のよもやま話

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

愛すべき、ちょっと切ない男たちの物語『素敵なダイナマイトスキャンダル』

幼少期の末井が最後に見た母親・富子(尾野真千子)は、寝ている彼を見下ろしていた。 それが夢だったのか幽霊だったのか、はたまた真実だったのかはわからないが、朝母を捜しに出た父親と息子たちが聞いた山奥の爆発音と、彼を見下ろしている母親の表情が、…

『勝手にふるえてろ』のヨシカは私だ

これはもう、「私」なのだ。そうとしか思えなかった。 一人暮らしの小さな玄関とありふれた茶色のコート、となりの部屋でオカリナを吹いている片桐はいり、イライラを抱えて部屋に帰った時の叫びやらなんやら。浮ついた期待が弾けた後の、広い世界の中で一人…

ときどき「ライターの」と言われることもある、やさぐれ書店員のはなし。

今週のお題「自己紹介」 に便乗して、恥ずかしくも自分の話を。(このブログの使い方もよくわかっていないので、この次更新するかもわかったもんじゃないんですけど・・・) 今の本屋の初日、22歳の私は「卒業旅行に恐山に1人で行って、自殺しようとしている…

『CURE』的な「特別な人間」の夏帆が、虐げられる『地獄の警備員』的な染谷を救う話としての『予兆』

映画『散歩する侵略者』とWOWOWのテレビドラマとして放送され、後に劇場版が公開されたスピンオフ作品である『予兆―散歩する侵略者-』は同じ概念を奪う侵略者と人間との攻防を描いたものであるが、「愛」「共存」という言葉を軸に陽と陰、まるで違った様相…